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医療用リンパドレナージュの資格

医療用リンパドレナージュとは

医療用リンパドレナージュとは、デンマーク出身のエミール・ボッダー博士が提唱したとされる、リンパ浮腫などの症状の治療や予防、患者のケアを目的とした医療行為です。そのため、医療用リンパドレナージュを施術するには、まず前提として医療従事者としての資格を有していることなど、様々な条件があります。

医療用リンパドレナージュの目的

医療用リンパドレナージュの施術者は、他の医療従事者と協力しながら、医師の診断と指示にもとづいて、リンパ浮腫の保存的治療法である「複合的理学療法(Complex Physical Therapy) 」を患者へ施術したり、患者やその家族に対して生活指導などを行ったりする専門家です。

そのため、医療用リンパドレナージュの資格を取得するには、何よりもまず医療従事者としての国家資格を持っていることが条件として挙げられます。つまり、医療用リンパドレナージュ施術者は「セラピストの資格も取得している医療従事者」と言えるでしょう。

医療用リンパドレナージュの資格取得を目指せる国家資格としては、例えば以下のようなものがあります。

  • 医師
  • 正看護師
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • あん摩マッサージ指圧師
  • 柔道整復師

リンパドレナージュと医療用リンパドレナージュの違い

一般的にサロンで行われているリンパドレナージュは、あくまでも美容目的の施術であり、医療行為とは明確に区別されています。

原則的に美容目的のリンパドレナージュでは、施術を受ける人の体の構造は「健常者と同じ」であることが前提です。そのため、手術などによってリンパ節を切除されているような患者に対しての施術は、美容目的のリンパドレナージュにおいてそもそも想定されていません。

医療用リンパドレナージュの資格を取得するメリット

医療用リンパドレナージュの資格を取得しているということは、そもそも医療従事者として医学的根拠にもとづいた治療や施術を行えるという証明に加えて、リンパドレナージュの専門家として適切なスキルを有していると客観的に証明できるということです。

医療用リンパドレナージュの資格取得者であれば、正しくリンパドレナージュの知識と技術を備えているので、一般の医療従事者よりも効果的な施術を行いながら、患者の心身へアプローチしていくことが可能です。その上、「リンパ浮腫」について専門的に学んでおり、患者の治療プランを考える医師や、患者のサポートを行う家族にとって強力な味方になれることも魅力です。

また、医療用リンパドレナージュの資格の中には国際的な団体が認定しているものもあり、グローバルスタンダードの医療現場で活躍していきたい人にとっても、魅力的なキャリアとして活用できます。

そもそも「リンパ浮腫」とは?

リンパ浮腫とは、がん患者などにおいて、治療部位付近の腕や足の皮膚の下に、リンパ管内に流れなかったリンパ液が貯まってしまい、むくんでしまっている状態を指します。リンパ浮腫が進行すると、リンパ液の重みで腕や足を動かしづらくなったり、関節が曲げづらくなったりと、肉体面や精神面だけでなく日常生活にも不具合を生じさせやすくなります。

加えて、リンパ浮腫は一度でも発症してしまうと完治させることが難しく、可能な限り予防を行いながら、発症した場合でも早期発見・早期治療が重要です。

リンパ浮腫の原因

リンパ浮腫の原因としては、乳癌や子宮がん、前立腺がんなどの治療でリンパ節を切除することであったり、放射線治療や化学療法による副作用であったり、色々なものが考えられます。しかし、いずれにしてもリンパの正常な流れが滞ってしまい、リンパ液がリンパ管内へ適切に流れていかなくなることが原因として考えられます。

なお、リンパ浮腫は発症するタイミングの個人差が大きく、がん治療を行っている間に発症する人もいれば、がん治療を終えてしばらく経ってから発症する人もいて、少しでもリンパ浮腫の発症リスクのある人では、日常的な予防を意識しておくことも大切です。

リンパ浮腫の治療法

リンパ浮腫が発症した場合の対処法としては、ハンドマッサージによってリンパ液を流す医療用リンパドレナージュの他にも、肌荒れを予防するスキンケア、または専用の包帯や衣類を使いながらの運動療法などが一般的です。そのため、専門的な医療用リンパドレナージュを正しく行えるセラピストは、リンパ浮腫の患者にとって非常に心強い味方と言えるでしょう。

また、医療用リンパドレナージュセラピストであれば、患者の家族に対して適切なマッサージ法やケアの仕方を指導できるので、患者のホームケア環境の充実にも大きな役目を果たします。

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医療用リンパドレナージュの資格の種類

注意しておくべきは、医療用リンパドレナージュセラピストになるためには医療従事者としての国家資格が必要ですが、医療用リンパドレナージュセラピスト自体の国家資格はありません。

現在、医療用リンパドレナージュの資格は、国内外の複数の団体がそれぞれに認定するものとなっており、受験資格や受験方法も資格・団体ごとに違っています。

ここでは一般的に知られている医療用リンパドレナージュの資格をご紹介します。

リンパ浮腫療法士 (Lymphedema Therapist:LT)

日本リンパ学会など、複数の医学会が中心となって創設された「日本リンパ浮腫治療学会(JSLT)」が認定している資格です。規定の医療従事者としての国家資格に加えて、2年以上の実務経験や専門研修の修了といった諸条件が資格取得に課せられています。

ICAA リンパドレナージセラピスト/ICAA認定リンパ浮腫専門医療従事者

医療現場で活躍するセラピストが中心となって設立した、一般社団法人「ICAA(インターメディアリー・クリニカルアロマセラピーアソシエーション)」が認定する民間資格です。正式名称は「ICAA認定リンパ浮腫専門医療従事者 リンパ浮腫専門 医師・看護師・理学療法士・作業療法士資格」となります。

Dr. ボッダー式リンパドレナージ(MLD)

リンパドレナージュの発案者とされるエミール・ボッダー博士が考案した「MLD:マニュアルリンパドレナージュ」の技術に関する資格です。認定している団体はオーストラリアにある「Dr. Vodder Academy International(DVAI)」であり、国際的に通用する資格となります。

リンパ浮腫セラピスト

特定非営利活動法人「日本リンパドレナージスト協会」が認定している資格です。実技実習コースを修了することで、あん摩マッサージ指圧師も医療用リンパドレナージュの資格を取得することができます。

医療リンパドレナージセラピスト

平成14年に設立された特定非営利活動法人「日本医療リンパドレナージ協会」が認定する資格であり、医師、正看護師、理学療法士、作業療法士、あん摩マッサージ指圧師が取得対象になっています。2020年3月末日現在で2,354名の資格取得者がおり、全国の医療機関で活躍しているそうです。

リンパ浮腫指導技能者

リンパ浮腫指導技能者は、一般社団法人「リンパ浮腫指導技能者養成協会(LETTA)」が、看護師や理学療法士、作業療法士を対象として認定していた資格です。現在も多くの資格取得者が活躍していますが、2013年に新規資格取得のための講座は終了しました。

リンパ浮腫保険診療医・リンパ浮腫保険診療士

一般社団法人「日本リンパ浮腫学会」が2019年度にスタートさせた資格制度です。医師を対象としたリンパ浮腫保険診療医」と、医師以外を対象とした「リンパ浮腫保険診療士」の2種類があります。

医療用リンパドレナージュの資格取得に必要なこと

受験資格

受験資格は、いずれの場合も医療従事者としての国家資格の所持を必要とします。ただし、資格ごとに対象となる国家資格に違いがあり、さらに実務経験や講習受講、実技研修といった条件があるため、詳細はそれぞれの団体へ確認してください。

なお、国家資格の取得中である学生に対して、資格取得を認めている団体もありますが、その場合は学生として別途手続きすることが必要です。

資格取得までの流れ

基本的に、規定の受験資格を満たしている者が、それぞれの資格を認定している団体へ申し込み、規定の費用を支払います。

その後は座学講習だけで資格取得を目指せることもあれば、実技講習が必要な場合もあり、最後に試験を受けて合格すれば、修了証や認定証が授与され、晴れて資格取得となります。

資格取得にかかる費用(例)

例えば「リンパ浮腫療法士(日本リンパ浮腫治療学会)」の資格取得を目指す場合、以下の費用が必要です。

  • 受験料:15,000円
  • 認定登録料(試験合格者):20,000円

しかし、その前提として国家資格を取得するための費用や、日本リンパ浮腫治療学会の会費(一般会員:1万円)などが必要になります。

医療用リンパドレナージュの資格取得ができるスクール

フランシラナチュラルセラピストスクール

社会福祉大国として知られるフィンランドに本校を置く、国際的なリンパ浮腫セラピストの養成スクールです。すでに医療従事者として働いている人でも、仕事と学びを両立しやすいよう配慮されており、最長2年の期間中は受講振替や再受講も認められています。

認定「リンパ浮腫セラピスト」実技コース

医師・看護師・理学療法士・作業療法士・マッサージ師と、幅広い医療従事者を対象とした、「リンパ浮腫セラピスト」の認定講座です。入学は随時可能となっており、最短5ヶ月で資格を取得することができます。卒業後のフォローも充実しています。

料金
受講料金:400,000円(教材費含む)

基本情報

所在地 東京都港区西麻布2-13-15 9F
アクセス方法 都営地下鉄大江戸線「六本木駅」3番出口より徒歩9分
開校時間 要問合せ

マジックハンズ・セラピストアカデミー(MHTA)

国際的なセラピストの養成機関として、米国NSCAやイギリス国際ライセンス機関「iTEC」などの資格を取得できる認定校です。日本国内だけでなく、海外でもセラピストや医療従事者として活躍していきたい人にとって、チャンスの多いスクールといえます。

iTECリンパドレナージュ資格取得コース

MHTAでは、ナースなど医療従事者に対して、セラピストとしての資格取得を応援し、「ナースセラピスト」として活躍する人材を育成しています。このコースでは国際基準のリンパドレナージュ技術を学べ、修了後はイギリスiTEC認定国際ライセンス(リンパドレナージュ)を取得可能です。

料金
入学金:30,000円
iTEC受験料:35,000円
教材費:10,000円
授業料:294,800円
総額:369,800円

基本情報

所在地 東京都墨田区江東橋2-2-3三和ビル2F
アクセス方法 JR「錦糸町駅」南口より徒歩5分
開校時間 要問合せ

日本医療リンパドレナージ協会

増加し続けるリンパ浮腫患者を支援するとともに、対策方法の普及と発展に努めることを目的として、2002年に設立された特定非営利活動法人です。医療用リンパドレナージュの専門家を育成するため、「医療リンパドレナージセラピスト養成講習会」を開催しており、資格取得者は全国の医療機関で活躍しています。

医療リンパドレナージセラピスト養成講習会

基礎講習(初級講習会・中級講習会・修了試験)を修了することで、フェルディ式複合的理学療法を学んだ医療リンパドレナージセラピストとして認定を受けることができます。また、さらに継続研修を修了することで、上位資格である「医療リンパドレナージ上級セラピスト」を取得することも可能です。

料金
医療リンパドレナージセラピスト養成講習会(基礎講習):一般550,000円/学生440,000円

基本情報

所在地 神奈川県横須賀市佐野町2-34 神奈川衛生学園専門学校内
アクセス方法 京浜急行バス「不入斗橋」停留所より徒歩4分
開校時間 要問合せ
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